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 お役立ち情報 > ITや経営の情報 > 都電荒川線の経営戦略
2006/6/22 織田 幸博

 しばらく前に東京の早稲田近辺に行く用事があり、かつては一時期「鉄道友の会」会員であり、SLの写真を撮りに行ったりしていた私ですので「都内で唯一残った路面電車」に乗る良い機会だと思いつき、出張に早めに出て乗ってみることにしました。先日追突事故を起こしましたので思い出し、この機会に雑談風にまとめました。

1. 荒川線の概要
 東京都交通局のホームページで都電荒川線が紹介されています。荒川区三ノ輪橋から、新宿区早稲田まで所要時間53分で、一律160円。つまり都バス200円よりも安い。上野から日比谷線で三ノ輪まで行き狭い商店街を行くと、ぽっこり三ノ輪橋駅が現れます。ここの駅までは以前、来たことはありますが乗るのは初めて。当然ながらワンマンカー。
平日の昼間なので空いています。何駅か乗っているうちに、通常の路面電車と違う「ビジネスモデル」が見えてきて、荒川線が生き残っている秘密の一部が分かってきました。
(路線図は都交通局のページから転載)

 ちなみに私の育った所は目の前を路面電車が走る通りでした。1円玉とか、釘をレールに乗せて電車につぶさせて遊んだものです。大きい釘はさすがに運転手に見つかり、電車が止まって怒られる子もいました。年に数回、お祭りの日などは電飾とスポンサー広告で飾った「花電車」が通り、騒いだものでした。1970年ごろに道を拡張し(そのため引越しをした)線路も撤去され自動車のみの道路になっています。

2.荒川線のニッチ戦略
SWOT的に分析してみるとなるほどと分かります。

(1)強み
  実はかなりの部分が専用線であること。三ノ輪駅から見える範囲でしばらくは専用線とは分かっていましたが、その先も結構専用の線路を走り、純粋な「路面電車」ではないといえます。これをコア・コンピタンス(中核の能力)として、次の強みを持っています。
・ 渋滞に巻き込まれることが少ない。専用線なので結構早いし、ほぼ定時運転もできる。
バスを使わず、地下鉄など鉄路を利用する理由にはこの「当てになる」定時性も大きいです。
・ 町屋駅、王子駅、大塚駅など地下鉄、JRの駅などと要所で接続されていて便利である。
(機会の記載を参照)

(2)弱み
 路面電車が嫌われたのは自動車の通行の邪魔をすることが大きかった。また通常、専用線の踏切だと電車を優先して踏切を閉じノンストップで走るが、荒川線は逆で踏切でも電車が止まり、信号に従って進む。もちろんJRの駅などの前は、通常の道路を線路が走るが自動車も含めた交通信号で進む。つまり、本来嫌われるところを頭を下げて通してもらう。いわば「共生」戦略でカバーしていると言えます。

(3)機会
・ 競合する路線が少ない。
・ 地下鉄路線は、丸の内線などを除けば都心から大半は放射状に走っている。強みでもありましたが、荒川線は部分的にこれらをつなぐ環状線になっている。
  始発の三ノ輪の日比谷線から、町屋の千代田線、京成線、王子、大塚のJR、巣鴨で三田線、東池袋で有楽町線、少し離れていますが終点早稲田で東西線。
・ 路線中に、唯一区営の「荒川遊園地」があり、子供料金は100円で人気がある。(しかも平日は無料)。
なお、IT関連の話題では住民基本台帳(住基ネット)カードを普及させるために、カードで入園料を払えるシステムを導入したことで有名。(そんなことで何千万も使うか?が本音ですが)
・ 周辺の病院施設に通う老人にも使いやすい路線と、これは後から聞きました。

(4)脅威
 これも余りない。並行する道路がないので、バスなどによる新規参入は考えられない。少子化による遊園地離れはあるだろうがその分、老齢者による利用は増大するだろう。
先日の追突事故程度で利用が落ちることはないだろうが(東横インと同じく!?)、懸念は施設の老朽化。電車そのものは更新できるが線路の設備が老朽化した時に今の軌道を高架にして下を道路にしろ、という声が出るかもしれない。

 まとめると、意図したかどうかは別として下記戦略と言えます。

「きちんとした強みを持ち、自動車との競合を避け共生するオンリーワンの道を歩む」

3. 終点に近づく
 早稲田に近づくと聞いたことのある地名の駅が出てきます。雑司ケ谷(ぞうしがや)、鬼子母神(きしぼじん:これは「恐れ入りやの鬼子母神」の成句で、上野から三ノ輪への1つ手前の、入谷鬼子母神のほうが有名です)などの最後に面影橋(おもかげばし)というなんとも懐かしい、切ない名前が出てきます。思わず、かつてフォークグループの六文銭が歌った「面影橋から〜天満橋。天満橋から〜・・・」というフレーズが頭に浮かんでしまいました。
さっき、思いついて天満橋周辺を地図で探してもなぜか見つからない・・・??
そこで例のごとく「面影橋」でネット検索。

http://www.asahi-net.or.jp/~rr5k-oikw/uta_19.htm
に歌詞と答えがあります。

(その一部の引用)
天満橋は大阪。面影橋の所在地は知らなかった。
でも曲は書ける。
 ところで日影橋は劇作家の頭の中だ。
後日ありもしない「全国の日影橋を探そう」というキャンペーンをはったのは、
某ベルウッド・レコードです。
(引用終わり)

 なるほど、確かに「大淀に捨てる」と歌っているので「東京から大阪を跨るスケールの大きい」曲だったのだと・・・。
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