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ITや経営の情報 > ひたち号予約と「安心」の提供 |
| 2007/01/05 織田 幸博 |
1.ひたち号の停車駅(常磐線のマーケティング)
先日県南のH氏に同行する機会があり、常磐線ひたち号、特にフレッシュひたち号の停車駅が話題になりました。
・我孫子停車はなくなり、柏停車に統一された。そういえば成田空港に行くのに成田線を使ったのは何10年も前に1回だけですね。
・上りは朝の数本のみが牛久、佐貫などに停まる。しかし日中はこれらに停車する列車はほとんどない。
・一方、夕方の下りはほとんど全てが上記の駅に停車する。
これは明らかにJRの意図が見えます。つまり朝や日中は普通列車で上野まで1時間程度の「東京通勤圏」駅からは特急に乗らないだろう。しかし帰宅時には疲れた勤労者は利用するだろう。たとえば総武線の「ホームライナ号」は、特急車両を使い、300円程度の料金で必ず座れる列車を運行しています。停車駅は船橋などの主要駅のみ。つまりフレッシュひたちの夕刻の列車はまさにホームライナ号です。それを促進するためにフレッシュひたち号の回数券を安い料金で販売しています。現実に上野から水戸まで止らないスーパーひたちよりも、フレッシュひたちのほうが混んでいます。しかし、たとえフレッシュひたちにやむなく立って乗車しても佐貫や牛久を過ぎるとほとんどが座れます。(金曜日の夜は無理かもしれません。単身赴任者の帰宅が多いので)また昨年からか、18時15分、19時15分発の土浦止まりのフレッシュひたちが運行されています。つまりフレッシュひたち号は日中と夕方は異なる顧客セグメントを対象としたビジネスモデルとなっています。
また同じころから車載端末などで指定席予約状況を把握するようにしたのでしょう、指定席の検札を廃止しました。これは顧客の便宜を図るという表向きの理由もあるでしょうが、収益アップが大きいと思われます。車掌は自由席客の降車駅を丹念にメモ(紙ベースのよう)しており、途中駅からの乗車客をチェック、特急料金の収受率を上げているようです。やはり民営化によってIT化など効果は出ていると思います。
2.予約は安心を買う
そんな話をしているうち座席の売れる順序の話になりました。これは上りも下りも共通の現象ですが、売れる順序は「指定席(禁煙)」、その後「指定席(喫煙)」となります。従って私は、もし指定禁煙がとれなければ、とりあえず指定喫煙を取っておいて、自由席禁煙に向かいます。たいていの場合、自由席は発車7〜8分くらいまえに行けば、1人席なら確保出来ます。指定が満席でも自由席にはかなりの余裕があるとことが多いです。つまり、かなりの人が指定席料金500円(通常期。閑散期は300円、繁忙期は700円、上記回数券は割引)を払って「わざわざ混雑している車両」に乗るのです。何に500円を払うのでしょうか?
もちろんぎりぎり1分前に到着しても良いという「時間」を買っているケースもあるでしょうがそれよりも、「かならず座れるという安心」を買っていると思われます。たとえ時間的に余裕があって、自由席に間に合う時間であっても「席を確保できているという安心」を買っているのでしょう。
(ところで3月のダイヤ改正で全面禁煙になるとのことです。多分デッキも禁止でしょうから、愛煙家は大変です)
3.安心を売る商品
「安心」を売る商品は結構あります。しかし製造業出身の自分はこれらは基本的に「物を生産しない、いかがわしい」または「虚業」ではないかという意識が未だに残っています。
・生命保険
一生懸命支払った本人には絶対に下りないという奇妙な商品です。また社会保険でもそうですが「自殺」も「保険事故」と扱っているので「究極の借金返済手段」となっている。まず「自殺は不払い」とすることが社会倫理的に必要と思います。
・警備保証
これもかなりいかがわしい。侵入を感知するのはよいが、それで何が出来るのか?ATMごと持っていかれてしまうのでは・・・。コマーシャルに出ている有名人宅も泥棒に入られた。侵入「防止」システムでないといけない。
・損害保険
これは実際にかなり発生する交通事故の治療費、修理費などに支払われるので共済サービスとしての意味は認められる。火災保険、傷害保険も実損の補填の意味はある。
これらの「商品」はある意味、不安を煽って金を出させるたぐいの「XX詐欺」に近いのでないか?とは言っても、これらに人々はお金を払っています。ということは価値を認めているということです。しかしこれは対価を払うべき「富」とは言えないでしょう。
4.安心産業は「サービス産業」か?
産業の分類で第1次産業は農業、林業など、第2次産業は製造業などのモノ作り、と教えられました。ここまでは物に付加価値が埋め込まれます。第3次産業はサービス業で、物ではなく便益を提供する、といわれます。しかし、飲食店は食事などの物品の価値自体や料理サービスを提供する。ホテル・旅館は宿泊という便益を提供する、旅行業も予約事務手続きを代行してくれる、ITサービスも代行入力や運用してくれたり、プログラム作成(これは2次かも)してくれる。流通業(卸や運輸)は在庫管理機能などを提供する。娯楽店もそれなりの便益(時間つぶし、気分晴らし)を提供している。しかし「保険」ってなにか便益提供や代行をしてくれているでしょうか?「サービス業の特徴」として、よく言われる「予め蓄えておけない」、「その場でしか提供されない」、「その時限りのものである」などの性質もどうも該当しそうもない。
これに近いのはISOやPマークなどの取得サービスですが、この構築サービスは取得までの作業の代行や、企業の支援をしてくれるので実務的な価値はある。しかし維持審査サービスで提供しているのは、ほとんどがその認定を取得していることの看板代(ブランド代)でしょう。保険とか、安心とか、ブランド代などはひょっとして通常の第3次産業(サービス業)の枠からはみ出ている「バーチャル価値」の第4次産業ではないでしょうか。
ここでちょっと心配になって第3次産業の定義をネットで調べました。それによると「第3次産業とは、第1次、第2次以外のすべての産業」という「その他すべて」といういい加減なものでした。第3次産業の比率が大きくなっている経済では、この「その他すべて」ではなく、提供するサービスの実体があるものとないものの仕分けが必要ではないかという気がします。(本題から外れました)
5.「安心・安全」に価値を求める時代
いつも興味を引くコラムが掲載されるWebサイトは日経BPの「安全な生活(暮らし)・セキュリティの総合サイト SAFETY JAPAN」というサイト名です。内容は経済や政治の話題が中心でなぜこんなタイトルになっているのか、実は理解していないところがありました。北朝鮮情勢や、耐震偽装事件など安心できない社会になっていることからかなぁと漠然と思っていました。しかし、今回改めて整理したことでこれは時代の課題・認識を的確にとらえたサイト名なのだ、と理解しました。
現代は特急の指定席確保に見られるように「安全を含めた広い意味の安心」に価値を認める時代なのでしょう。この「安心」には長期的な地球環境、資源確保も含められるのではないか。すぐには利益を生まないかもしれないけれども、自分たちの生活が長期的に安心して存続できる(サステイナブル)ことの安心を得ることに価値を見出すようになってきている。(これは社会の保守化傾向とも符号します)。
ちょっと強引かも知れませんが、企業の経営戦略、理念も「短期的な利益追求ではなく自社が長期的に存続発展できること(ゴーイングコンサーン)の価値・安心感の確立」を理念とし、従業員へは「雇用されることへの安全・安心感の醸成」で従業員意識・達成感を確保すること、さらにもっとも重要な顧客への提供価値は「高品質な製品・サービスによる安心感の提供」(少し高いけれど、あそこに頼めば安心だ、と評価される)ではないでしょうか?一時的ではない真の「安心・安全・ブランド価値」を高める努力を継続することが大事と思います。 以上
(年頭なので少し格好をつけた結論にしました。)
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