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ITや経営の情報 > 年金問題とIT化 |
| 2007/06/12 織田 幸博 |
1.「消えた」年金?
「消えた」年金問題が大騒ぎになっています。人によっては「5000万人、国民の半分にあたる年金が消えた!」とまで誤解されることもあります。実際には「5000万件の納入記録」が誰のものか特定が出来ずに宙に浮いているということです。一人の人が複数の銀行に口座持っているとき合算する「名寄せ」が出来ていないということです。たとえば厚生年金で会社を変わった時に手帳の引き継ぎが出来ていないとか、一番多いと思われるケースは女性(など)が結婚して名前が変わったときに追跡しきれない(国民年金3号者となるために会社時代の厚生年金支払いの実績は浮いてしまう)場合でしょう。
社会保険庁のずさんさは責められて当然ですが、しかし時の政権を大きく揺るがす騒ぎとは思えません。「消えた」額の総額の公表はされていませんが、推定すると現在の国民年金保険料をベースに過去の物価を考えると1月の納入額は1万円程度(これが1件)。これに5000万を掛けると、5000億円。厚生・国民年金総資産は100兆円規模と思われるので、せいぜい1%以下の問題、と。もっとも病気と同じで確率的には1%でも、該当する人にとっては100%ですから深刻な問題ではあります。
しかししろうと考えでは「なにを今さら、いままでの国民(政党?)の身勝手」な面が大きいと思います。
2.総背番号制との関係
過去の納入記録は別として「名寄せ」をするには会社や名前などが変わっても本人と特定できる不変のID番号をつけるのが当然の解決策です。会社では「社員番号」を付けられ、部署がどこに異動しようと特定されます。同じように国民全員に誕生時に番号をつければよい。しかしこれは「総背番号制」という「悪名」で言い表されていつもマスコミや野党の反対で議論自身が消されてきています。
反対の理由は犯罪歴、出生歴などが一元管理されるとプライバシ侵害になるということが中心であり、個人情報保護法ができたこともあり議論が起きてきません。今回の騒ぎでも「総背番号制議論」は今のところ目にしたことがありません。しかしこれは年金だけはきちんと一元管理せよ、という要求とは矛盾した話ではないでしょうか?反対の多くは銀行口座の名寄せが簡単に出来てしまう、株取引による利益や税金の捕捉も容易となってしまうなどという、「善良な納税者(逃れかたを知らない)」にとっては関係が少ない「不正を隠したい」という意図が透けて見えます。
住民基本台帳ネットへの反対も、表面上は差別問題に反対の論点がおかれるようですが同じ趣旨のようです。
3.そもそも住民基本台帳・年金番号の内容
実際には住民基本台帳に記述される情報は大したものではない。氏名、住所、性別、年齢しかない。これが一元管理されたとして何が問題なのかが良く分からない。もちろん企業にもれてダイレクトメール、○○詐欺などの恐れはありますが、それは運用管理の問題であり登録制を作ることに問題があるわけではない。
また厚生年金の手帳は会社預かりで、個人の住所は記載されていないので「名寄せ」が困難だったということです。今後は確定拠出年金に移行されつつあるために自己管理・運用が基本となりつつあります。個人で異なる番号を管理することなどほとんど不可能でしょう。
4.時代にあったIT化の必要性
以上のことを考えるとそもそも現在の「国民・住民管理」制度は従来の下記の前提があると思われる。
@ 人は住所をそんなにころころ変えるものではない。
(住民基本台帳は自治体の管理で、異動したら台帳を郵送する)
A 会社は一旦就職したら変えるものではない。
(厚生年金は事務手続きは企業にお任せ、個人の管理は国はしない)
したがってホームレス・住所不定者は「社会的には存在しない」扱いとなっている。
それが時代の変化で転職、住居の変更も頻繁になったので管理システムが追従しきれないという事態に陥っているのでしょう。
SF映画で出てくるような、ICチップを生まれたときに埋めこむなどは行き過ぎしょうが、セキュリティをきちんと確保したうえでの「総背番号制」(IT化)はもう必須ではないでしょうか?情報にレベル分けして、住民基本台帳の情報はフリー、年金情報、交通違反など軽微な情報は本人のICカード持参でアクセス可能、犯罪記録・出自へのアクセスには指紋認証も必要とする、などの強固なセキュリティ付きIT化が必須と思います。
「総背番号制」は口にすることすらタブーのようですが、これこそ国民全員に対する国家IT戦略の基礎(の1つ)ではないでしょうか?
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■あとがき
・書き終わってから「総背番号制」でグーグル検索すると日経の谷島記者の下記記事が引っかかりました。日付では3年半前の議論のようです。
http://itpro.nikkeibp.co.jp/members/ITPro/ITARTICLE/20031215/1/
・社会保険庁労組に対して「1日のタッチ数は5000以内など、いまどきとんでもない」という論調がありますが、昔の電算室のキーパンチャには同じように1時間で10分休憩をとるというのは法律上もあたり前でした。昔はVDT(Video Data Terminal)と呼ばれていましたが、表示ドット数も粗く、インターレース(懐かしい用語)表示で確かに長時間見ているのはつらいものでした。なので、締結当時は妥当でも、一旦決まった既得権の見直しがされない、というお役所仕事の面は非難されるべきでしょう。
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