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 お役立ち情報 > 雑談 > 民と官の違いをかいま見る
2006/1/19 織田幸博
 
昨年12月に県高度情報化推進協議会の委託でIT調達関係のセミナをITC茨城として受託、IT戦略作成研修を2日、IT調達実務演習(RFP作成〜ベンダ選定)研修を2日、2週間に渡り総員6名で分担して対応させていただきました。参加者が本来の目的の自治体関係者が少なくITベンダのほうが多かったことは残念ですが、セミナの内容自体の評判は悪くありませんでした。当方は後半のIT調達のほうのまとめをさせてもらいましたが、研修の中で民間の目から見ると「あれ」と思うこともありました。ある人の情報共有のすすめもありましたので雑文にしてみました。

1. 運用性重視
 IT調達実務演習の2日目は評価基準を作成し、RFPに対するベンダ2社の提案書を読み、基準の重み付けも考慮して点数をつけ選定する演習がメインです。テーマはどこの自治体でも議論が出来るように、県からいただいたセキュリティがらみの「シングルサインオン個人認証システムの調達」にしました。ベンダからの提案書は架空のものですが、ベースとなる提案書をつくり2社の特徴が出るように記載内容を下記のように「振る」ことで2ケース作成しました。
@ 大会社を想定。本社東京。技術的にはソフトのみで認証を行う。大会社なので運用体制はしっかりしている。
A ベンチャ企業を想定。本社茨城。技術的には生体認証(指紋認証)ハードを提案し、先進的。ただしベンチャのため運用体制は弱い。ハード費用で多少価格高い。

 ケース作成側としてはなるべくグループの評価が割れて、盛んに議論が起こることを期待していましたが、結果として3グループとも@を選定、しかも大差でした。大差となった主な理由は、重み付けでの「導入後の運用項目の重視」でした。
 つまり新しいものに飛びついて失敗したときの責任を問われるのを恐れる「保守志向」が明確となりました。セミナ参加のITベンダの感想も「自治体の考え方がよく分かって良かった」というのが多かったですが、このあたりのことを指しているようです。つまりベンダの提案には(価格は当然として)「目玉(先進技術)」は差別化のために必要だが、一方では「失敗はしませんよ」という安心感を与えるところがなくてはならない。それはベンダの大きさ、実績、バックアップ体制(元請は地元の中小だが、大手と連携している)などということになります。
たしかに民間でも「動かないコンピュータ」は山ほどありますが、上からの圧力で封印することはできるので、挑戦的な試みも行われる。(ビジネスに勝つために)一方自治体では議会で質問が出ると大騒ぎとなるので、リスクを恐れることは分からないでもないですが・・・。(でも進歩の速度は遅いな)

2. やっぱり効率化の意識は弱い?
演習中に自治体からの参加者に2つ質問を受けました。
「ベンダの見積書に記載の、下記の記号は何ですか」と。
@ K\
A MM
 もちろんそれぞれ千円、人月(Man Month)のことですが、自治体では使わないみたいです。そういわれれば確かに官庁の統計表、グラフなどでは
「単位 千円」とか「単位 百万円」と記載されています。それぞれ一言の説明で理解はしていただけましたが、しかし自治体内部でも日常的には簡略記載がなされていなさそうなのにはびっくりしました。当然M¥(百万円)も使われていないだろう。やはり効率化は二の次、三の次のようです。

3.略称の意義
 振り返ってちょっとローカルになりますが、日立関係では「略称」が蔓延していました。
・ にっせい(日立製作所のこと) 初めは「日本生命」がなぜ頻繁にでてくるのか理解できなかった。
・ 日表(にっせい:文字は「表」ではなく、製作所の製の右側のリを省略した文字。表の左肩に左下がりの斜め線を追加する)
これもなぜ「にっぴょう」が出てくるのか分からなかった。
・ 作#(さくばん:製作手配の単位。作業番号の略)
・ 新営(しんえい:新規営繕の略で、設備投資のこと)
・ おす(おはようございます) 朝の守衛の挨拶。 などなど・・・。
こういう仲間うちの略称(隠語)が良いとも思いませんが、効率化には有効です。また業界用語はどんな世界でもあるものです。
たとえば自治体でも書類の「起案」「収受」など一般企業では使わない用語が出てきます。また自治体関係者向けのセミナに行くと「くびちょう」という言葉が飛び交います。初めはなんのことか分からなかったですが、「首長」をこう読むらしいです。多分自治体(県、都、市、町、村)のトップを一般的にさすのに、「市長」との混同をさけるためでしょうが、いまだに「どきっとする違和感」があります。

4.まとめ
話をもとに戻し、まとめると
「自治体は運用重視」
「先進技術は必要だが、リスクヘッジ策も提示し、安心感を与えること」
「自治体では日本語しか使わない」(使ってはいけないらしい)
これは住民へ提示する書類は当然これでないとだめでしょうが、しかし同時に
「略号などの使用による効率化の意識は弱い」
とは言えそうです。
ことほどさようにやはり自治体はIT調達予算に限らず、業務効率化の宝庫と言えそうです。
以上
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